「奪っちゃいたいくらいすきなら、諦めちゃだめだよ…例えその選択が間違ってるとしても…私は好きには素直になってほしいと、思う」



拙く言葉を探しながら話す私に、優しく頷いて聞いてくれる柊夏くん。



「…そんな綺麗なものじゃねぇよ。下心しかないし、汚いよ」



「…そんなこと、…仕方ないよ。恋愛なんてそんなものだよ。綺麗なだけじゃ成り立たないよ」



考え込むように前を見すえる彼には、今、誰がうつっているんだろう。



触れたい。



素直にそう思った。



彼の世界を少しわけてほしいと。



なんでそんなこと思ったのか、わからない。