剣を(さや)にしまい、俺様は仁王立ち。

ワイルドにウエーブがかった髪をかきあげ、八重歯が艶めくようにキリッと微笑んだ。



「俺様の嫁に……」



「なれ」と語尾まで言い切れなかったのは……


にこっ!


陽彩が微笑みながら、とんでもないことを口にしかたら。



「魔界のお姫様ってどんな人?」


「……は?」



俺様と結婚して、今日からオマエが魔界の姫になるんだろうが!



「好きな人と二人だけでお城に住んでるの? いいなぁ」


「……」


「魔王が求婚しちゃう相手だもん。私と違って、魔界のお姫様は大人っぽい美人さんね」



こいつ、勘違いしてやがる。



「あのなぁ!」


「今から結婚式なんでしょ? 大事な日に最愛の人を待たせるのは、よくないと思うよ」