その道のすぐ脇にあった小さな看板には、はげかけたペンキで【フユノファーム】と書かれてあった。


…ここだっ!


今ここに冬野くんがいるかはわからない。


だけど、よく遊びにくると話していたから、おじいちゃんにプリントを届ければ、冬休みの間には冬野くんの手に渡るよね。


なだらかな上り坂を上ると、そこには広い原っぱが広がっていて、ぽつんと平屋のログハウスと2つの家畜小屋があった。

こんなところに、こんなのどかな場所があったなんて知らなかった。


ログハウス目指して歩いていると、両脇にある柵の向こう側から、2頭のポニーと3頭のヒツジが歩み寄ってきた。

人馴れしているのか、柵越しにわたしを追ってきてかわいい。


そんなポニーとヒツジに手を振ると、わたしはログハウスのドアをたたいた。