「…でも、ここって2階……」


2階にいるわたしが、ソリに乗る冬野くんと目線が合うわけがない。

ハッとして窓から下を覗くと、ソリが浮いていた。


「クリスとイブは、自由自在に空を走ることができる特別なトナカイだから」


そう言うと、冬野くんはわたしに手を差し伸べた。


「つかまって」


まるでダンスに誘っているかのような冬野くんの手を取ると、わたしは部屋からソリに飛び乗った。

冬野くんが握った手を引いて、抱き寄せてくれる。


「白井さん、大丈夫…?顔が熱いけど、熱でもある?」


心配そうにわたしの顔を覗き込む冬野くん。


…そんなの、熱くなるに決まっている。

冬野くんと手を繋いで、包み込まれるようにして胸板に顔を押しつけられたら、だれだってうれしさと恥ずかしさとでこうなる。