冬野くんの連絡先は知らないし、今から家を抜け出して牧場へ行ったほうがいいのかな…。


そんなことを考えていると、電気を消した暗い部屋になにかの音が聞こえ始めた。

シャンシャンと細かいリズムを刻んでいる。


耳をすますと、それは鈴の音だ。

それに、次第に音が大きくなってきた。


もしかしてと思って窓を開けると、丸い大きな月に黒い影が映っていた。

その影は、徐々に近づいてきて――。


「お待たせ、白井さん」


なんとそれは、ソリに乗ったサンタクロース姿の冬野くんだった!

まさか、こんなかたちで迎えにきてくれるなんて思ってもみなかった。


仲よさそうにソリ引いているのは、もちろんクリスとイブ。

さっきの鈴の音は、2頭の首につけられている首輪の鈴が揺れていたものだった。


窓から冬野くんと話していたけど、ふとおかしなことに気づく。