冬野くんが…サンタ?

えっと…、なにかの冗談かな…?


「…もうっ、からかわないでよ。サンタさんなんているわけないじゃん」

「なんで?白井さんは、サンタを信じているんだよね?」


冬野くんにそう聞き返され、ギクッとなる。


わたしはサンタさんを信じている。

それは本当のこと。


でも――。


「だって…、こんな身近にいるわけないから」


サンタさんって、もっと寒い国からくるんじゃないの?

それが日本人で、しかも隣の席の冬野くんだなんて…。


信じられるはずがない。


「それに、冬野くんこそ言ってたじゃない。『サンタなんて信じてるの?』って」

「それは、ああ言うしかなかったからだよ。俺の秘密は絶対にバレちゃいけないから」


冬野くんの表情はいたって真剣で、とても嘘や冗談を言っているような目ではない。