「ヴィヴィアン様はつまり、俺のことが好きなのですよね? とても、とても、好きなのですよね?」


 次いで、エレン様がわたしの手をギュッと握る。体温が軽く100度を超えた気がした。


「そ、れは、その……」


 本人を目の前にして「はい、そうです!」と言うのはあまりにも恥ずかしい。だけど「違います!」とは絶対に言えない。そんなの切腹ものの嘘だ。
 既に勢いに任せて「好き」だと口走ったこともあるかもしれないけど、今の、こんな雰囲気のなかじゃ絶対に無理。恥ずか死ぬ。


「わたし――――わたしは、エレン様のファンです! エレン様のことをいつも応援してます! 世界で一番幸せになってほしいと思ってます! 本当です! 全力で推してます!」


 わたしはそう言って、必死にエレン様のことを見つめる。
 決して嘘はついていない。ただ、本音の何千分の一しか表に出していないだけだ。

 エレン様はハハッと声を上げて笑いながら、わたしの頭をそっと撫でた。