「――――俺のこと、よくご存知なんですね」

「そりゃあ、わたしはエレン様の大大大ファンだもの! この世界でわたしほど、エレン様のことを想っている人間はいないわ! 好きな人のことを知りたいと思うのは当然のことでしょう?」


 答えれば、エレン様が目を細める。途端に気恥ずかしくなって、わたしはウッと口をつぐんだ。


「どうぞ」

「ありがとうございます。とても美味しそうです」


 ティーカップを受け取りながら、エレン様が微笑む。そっとミルクを差し出したら、彼は嬉しそうにそれを受け取った。


「そろそろ本題に移りたいのだけど」

「はい、ヴィヴィアン様」

「あの……その…………」


 どうしよう。いざ話をしようと思うと、なんて切り出したらいいかわからなくなる。エレン様の大切な時間を奪っているのだし、早くしなきゃってわかってはいるんだけど。


「俺たちの結婚について、でしょうか?」

「……! ええ、そうなんです」


 モタモタしていたわたしに、エレン様は助け舟を出してくださった。こういう頭の回転のよさとか、気遣いができるところとか本当に素敵。好き。こんなときだっていうのに、ついつい心をときめかせてしまう。