「うん。思っていたよりも早く終わったんだ」

アーサーのお父さんの問いにそう返した後、男の子はアーサーに目を移す。

「そして、お兄ちゃん。おかえり……待っていたよ」

男の子の言葉に、アーサーは「ただいま」と微笑んだ。

「ルーチェ、紹介するぞ!俺の弟だ!」

「初めまして。アーサーの友だちのルーチェ・クロウディアです」

僕が自己紹介をすると、男の子は「初めまして。魔導師のアレン・ウィリアムズです」と微笑む。

その時だった。

近くから、悲鳴が聞こえる。アレンさんは「もう戻ってきたのか……遠くまで、飛ばしたんだけど……」と呟いた。

「……行こう!」

僕は、そう言って走り出す。

モンスターが視界に入った途端、僕は思わず足を止めてしまった。モンスターの近くにいる人たちは、皆苦しそうにしてるから。

『……なるほど。呪具による呪いの影響、ですね……』

僕の肩に乗りながら、八咫烏は言う。

「……ルーチェ……」

後ろから声がして、僕は振り返った。そこには、家の壁に手を付きながらしんどそうに僕を見るアーサーがいる。

近くにいるアレンさんも、アーサーのお父さんもどこかしんどそうだ。

僕は、すぐにモンスターへと目を移した。

「……」