「……僕は、アーサーの援護しに行ってくる。ティム、あのモンスターは僕らに任せて」

ティムに微笑みかけてから僕はティムの家を出て、皆が戦ってるであろう方へと走って向かう。走りながら、背負った杖を片手に持った。

視界にモンスターが映って、僕はモンスターに向かって攻撃魔法を放つ。その魔法がモンスターに当たって、モンスターは僕の方を向いた。

僕と目を合わせた瞬間、モンスターは僕に向かって走ってくる。物凄いスピードで。

思ってたよりも速くて、防御魔法を展開してる余裕がない。

「……！」

僕とモンスターの間に、僕に背を向けた状態の誰かが割って入ってくると、持ってた武器をモンスターに向けた。

次の瞬間、凄まじい風が吹く。すぐに風が止まって、誰かはくるりと僕の方を向いた。綺麗な赤髪に、黄色い目の男の子。

気が付いたら、モンスターはいなくなってる。さっきの風で吹き飛ばされたのかな？

「間に合って良かった。大丈夫ですか？」

「……はい。えっと……助かりました。ありがとうございます」

僕が頭を下げると、男の子は「良かったです」と微笑む。

「ルーチェ！」

僕の名前を呼ぶ声が聞こえてきて、僕は声がした方を見た。アーサーとアーサーのお父さんが、僕らに向かって走ってくる。

「……お、アレン。帰ってくるの、早かったな……隣の村まで行ってたんでしょ？」