あれから1週間近くが経った。
「ルーチェ、遊びに来たよ」
クラル様から借りた本を片手に廊下を歩いてると、たまたまアーサーとティムに出会って、僕は「アーサー、ティム。いらっしゃい」と微笑む。
「……実はね、ルーチェを誘うためにここに来たんだ」
ティムの言葉に、僕は首を傾げた。
「あれ?アーサーにティムじゃん。来てたんだ」
ティムが何かを言おうとした時、いつの間にかアーサーたちの近くにいたクラル様が話しかけてくる。
アーサーとティムは同時に「お邪魔してます」と挨拶をした。
「……それでさ。ルーチェ……さっきの話の続きなんだけど……今から、僕とアーサー……故郷に帰るんだけど、ルーチェもついて来ない?家族に、ルーチェのことを紹介したくてさ……」
「2人の、故郷……」
「故郷に帰るってことは……2人とも、カラミティで生まれ育ったわけじゃないってこと?」
クラル様の問いかけに、ティムは頷く。
「はい。僕とアーサーは、小さな村で生まれ育ちまして……僕らが冒険者育成学校に入学することになって、僕とアーサーの2人でカラミティに来たんです」
ティムがそう言って微笑むと、クラル様は「そっか……ルーチェ、行ってきなよ」と僕の方を向くと微笑んだ。