服のデザインを見て、僕は思わず頬を緩める。僕が前世の頃から好きでずっと着てみたいと思ってた和服が、今僕の目の前にあるから。

「……着やすそうだな。見た感じ、和服を再現したって感じかな?……ズボンも、袴みたいだ。母様、凄いなぁ……この世界には和服はないし、作るの難しかっただろうな……」

そんなことを呟きながら、僕は新しい服を腕に通す。白い襟付きシャツの上から着ることにした。

全部着替え終わって、僕は「八咫烏、どう?」とその場でくるりと回ってみる。僕が穿いてる袴そっくりなズボンが、ふわりと揺れた。

『似合ってます!』

「ありがとう。じゃあ、皆のところに行こうか」

八咫烏にそう言って、母様が新しく作ったであろう、装飾品が1つ増えただけの、いつも僕が着てるローブを肩にかけると、部屋を出た。



「ルーチェ、良く似合ってるぞ!和洋折衷な感じでいいと思うぞ!」

父様の自室に入ると、アーサーがそう声をかけてきて、僕は「ありがとう」と微笑む。

「……」

クラル様と目が合って、クラル様は僕から顔を逸らす。クラル様の頬が、赤くなってるような気がした。

『集まりましたね。それでは、説明を始めます』

いずなの言葉に、僕は空いてる場所に座る。

『初めに……僕は、クロウディア家に封印されている呪具の化身です』