だけど、それは全て失敗に終わった。他のクロウディア家の人間に、無理やりこの森に捨てられた……という。

「その時に、たまたま俺が……というより、クラルがルーチェを見つけて、俺らがルーチェを預かることになったってわけね……なるほど。ルーチェを拾った日、ルーチェについて書かれた手紙が入っていたのも、生きて欲しい、誰かに拾われて欲しいって願いから書いたものなのかもね」

「……」

そんな話をしてたら、僕の住む家に着いた。門の前に立ってたリルは、僕らの姿を見つけるなり微笑む。

「クロード様、クラル様、ルーチェ様。おかえりなさいませ……そして、そちらの方は?」

ビオラさんに目を移して首を傾げるリルに、父様は「客人だよ」と簡単に説明した。

「……そうですか。分かりました」

「あれ?ルーチェ?」

僕らが家の敷地内に入ろうとすると、後ろから聞き慣れた声がして僕は振り返る。

「アーサー!ティム!」

僕がそこにいたアーサーとティムの名前を呼ぶと、ティムは「遊びに来たよ」と僕に向かって手を振った。

「ん?その動物、可愛いな」

いずなの姿を見つけたアーサーは、いずなに近づく。

「いずなは、動物じゃなくて呪具の化身だよ」