僕の攻撃魔法が当たって、モンスターが怯んだ隙を見て、クラル様はモンスターに一撃叩き込んだ。

クラル様の一撃がモンスターに入って、モンスターは倒れた……かのように見えた。次の瞬間、モンスターは煙に包まれる。

「……クラル様」

「……」

僕がクラル様に近づくと、クラル様は僕に止まれ、と言いたいのか、手を僕の前に出した。僕は動かしてた足を止めて、煙が晴れるのを待つ。

「…………これは……」

少し待ってると煙が晴れて、そこから姿を現したのは小さな黒い狐のような動物だった。耳には紫をベースにした耳飾りが付いてる。

一言で現すなら、幻獣と呼ばれててもおかしくないような見た目だ。

「……これは、何だろう……モンスターでも、動物でもなさそうだ……」

クラル様の呟きに反応するかのように、その動物は歩き出した。僕の前まで歩いてくると、その場で座る。

「……もしかして、迷ったのかな？」

そう呟いて僕はその場にしゃがむと、動物の頭を撫でた。

『ずっと、あなた様を探しておりました。他の誰とも違う、呪具使いのあなたに』

「え？」

頭を撫でる手が止まる。

「これは、驚いたなぁ……まさか、俺らが相手していたのが呪具の化身だったとは……」