特訓が終わって、僕らは昼ご飯を食べるために隣にあるキッチンと繋がってる部屋に移動した。

「ごめんね。ちょっと作りすぎたわ」

キッチンから顔を出した母様は、そう言って次々に料理を並べる。それを見て、アーサーは「美味しそう……」と目を輝かせた。

「母様の作るものは、全部美味しいよ!」

「ルーチェ、違うよ。ノアの料理は絶品なの。ノアの作る料理以外は、食べたくないくらいだよ」

「クロード!嬉しいけど、何だか恥ずかしいわ!止めてちょうだい」

いつの間にか父様の近くにいた母様は、そう言って顔を赤くする。それを見た父様は無言で微笑んだ。

「ちょっと、お2人さん?学生時代に戻らないでほしいな~……」

レオンさんは、2人を見て呆れたように言う。

「…………そうだわ。皆、もうすぐご飯が出来るの。座って待っててね」

僕らに向かってそう言った母様は、キッチンに入ってく。

母様に言われた通りに椅子に座って、僕はアーサーとティムと話を始めた。ふと視線を感じて、そこに顔を向けると、クラル様と目が合う。

クラル様は、どこか羨ましそうな顔で僕を見つめてた。

「…………ごめん。僕、ちょっと忘れていたことがあるから僕の部屋に行ってくる。また戻ってくるよ」

少しの間僕を見つめてたクラル様は、急に席から立ち上がって部屋を出ていく。そのクラル様の後ろ姿を、父様はじっと見つめてた。