ドラゴンをアーサーが撃退したことにより、周りは静かになった。

「……凄いよ!アーサー!!かっこよかった!!」

ティムが、アーサーの肩に手を乗せて笑う。僕もアーサーに向かって微笑んだ。

「……何で、アーサーは弱いのに……あのモンスターを撃退できるわけ?」

そんな声が耳に入って、僕は声がした方を見る。そこには、冒険者育成学校の生徒や先生が集まっていた。

僕は皆に少しだけ近づくと、口を開く。

「強いも弱いも関係ありません。大切なのは、仲間の強みや弱点を知り、仲間の弱点を補い合うことと仲間を信頼すること。今回はアーサーの強みを活かしたから、ドラゴンを退けることが出来た。2人に同行して分かりましたが、2人の弱点の中に本人が意識すれば克服出来るものもありました。しかし、それは他人から教えられないと分からないもの」

「……そうだね。そうなると、きちんと指導が出来てないってことになるよね。それが本当なら、評判が下がってしまうね。この学校の卒業生である俺からしたら、悲しいことなんだけどな……」

レオンさんは、僕の言葉にそう付け加えてから一呼吸置くと「……アーサーくんとティムくんに、提案があるんだけど」と言った。

レオンさんの言葉に、僕はレオンさんの方を向く。レオンさんは、真剣な目で2人を見つめていた。