僕がそう言うと、ティムの瞳から涙が零れる。

「……本当は、辛い……苦しいよ。もう、嫌だ……」

僕は泣き出すティムを、そっと抱きしめた。



ティムの涙が収まった後、僕はアーサーとティムを連れて館へと帰る。

2人がここに来た理由を、2人は直接クラル様に話すことに決めたんだ。

アーサーとティムを、僕はクラル様の部屋へと案内する。

クラル様の部屋のドアをノックすると、中から「どうぞ?」というクラル様の声が聞こえてきて、僕は2人を連れてクラル様の部屋に入った。

クラル様の部屋には父様もいて、クラル様と父様は同時に僕の方を見る。

「失礼します。クラル様、ただいま戻りました……あ、父様もいたんですね。もし、お話中であったのであればすみません……」

クラル様は「大丈夫だよ」と微笑んだ。

僕は「クラル様に、合わせたい方がいまして……」と僕の後ろにいるアーサーとティムを、クラル様の近くまで行くように促す。

2人は気まずそうな顔をしながらも、素直にクラル様に近づいた。

「君たちは、さっきの……」

クラル様はアーサーとティムの姿を見て、不思議そうな顔をする。2人は「ごめんなさい」と同時に頭を下げた。

クラル様は一瞬だけ驚いた顔を見せると、すぐに微笑む。

「……2人とも、顔を上げてよ」