2人には転生してからのことを含めて、僕から話した方がいいと判断して、話し始めた。

「転生後の記憶が何もなかった僕を拾ってくれたのが、クラル様と当時魔王だったクラル様の父親だったんだよ」

2人は、止めることなく無言で僕の話を聞いてくれている。

「拾われた初日に、僕は感じたんだ。現魔王のクラル様も、元魔王の父様も、他の魔王とは違うってこと。クラル様は、絶対に世界を滅ぼすなんてことはしない。クラル様も父様も、とても優しいお方なんだよ。それに……クラル様は、僕の家族なんだ。だから……だから、どうか……クラル様を……僕の家族を、傷つけないで。お願いだから」

「……ルーチェ、ごめんなさい」

2人は、そう言って同時に頭を下げた。僕は、頭を下げる2人の肩に手を乗せる。

「……謝るなら、クラル様に謝ってほしいかな。アーサーとティムがここに来た理由、僕に教えてくれない?2人とも、言いづらそうにしてたし……クラル様やモンスターたちがいるから、話せないのかなって思って、ここに連れてきたんだけど……」

「…………ルーチェ、すごいね。魔王やモンスターたちがいるから話せないってこと、当たっているよ……魔王に、自分の意志で来たんじゃないってことを知られるのが怖かったから……」

ティムはそう言って、悲しそうに、どこか辛そうに微笑んだ。