そう言いながら、僕は八咫烏の背中に飛び乗る。

なかなか動かないアーサーとティムを見て、「早く!」と声をかけると、2人は八咫烏の背中に乗ってくれた。

「クラル様、少しだけここを離れます」

クラル様にそう伝えてから、僕は八咫烏に「この森にある湖のほとりまで連れてって」と言う。

僕、アーサー、ティムを乗せた八咫烏は空を飛んで、僕が指定した場所まで向かってくれた。

森の中にある湖には、八咫烏に乗って飛んで行くと1分もかからずに着く。

木に囲まれた湖の近くの開けた場所に八咫烏は着地して、僕は八咫烏の背中から飛び降りた。

「ほら、アーサーもティムも降りてきて。ここだったら、話しやすいでしょ?」

僕の言葉に2人は顔を見合わせると、八咫烏から降りる。2人は、どこか気不味そうだ。

「…………八咫烏、ここでの会話は皆に話したらダメだからね」

八咫烏にそう言うと、八咫烏は『分かっております。会話をクラル様たちに聞かれたくないので、こちらまで移動したのでしょう?』と返事をした。

僕は「さすがだ」と八咫烏に視線を向けて微笑みかけると、再びアーサーたちに視線を戻す。

「…………僕はね。4歳の時に、この森に捨てられた」