父様の意外な言葉に、僕は驚く。母様も「それに伴って、私も側近を辞めることになったわ」と続けた。

「そこで今日から俺の子ども、クラル・ディスペアが新しい魔王となる。クラルから、皆に話がある」

「……皆、急な話でびっくりしたでしょ?ごめんね。改めて、今日から父様の後を継いで新しく魔王になりましたクラル・ディスペアです。僕もこの世界が好きだから、父様のように他の魔王を止めれるように頑張るよ……さて、早速なんだけど……僕から1つ命令というか、お願いがあるんだけど……いいかな?」

クラルさんの言葉に、リルは「何なりとお申し付けください」と返す。クラルさんと目が合って、僕は無言で頷いた。

「ありがとう……ルーチェ・クロウディア!」

急にクラルさんに名前を呼ばれて、僕は「はい」と返事をする。

「本日付けで、ルーチェを僕の側近に命じようと思っているんだけど……どうかな?嫌なら、断ってくれてもいい」

「……僕が、魔王の側近に……」

皆の視線が、僕に集まった。僕は少し考えると、クラルさんに近づく。

「……はい。僕に務まるのであれば、謹んでお受けいたします……クラル様」

クラルさん……いや、クラル様にそう返すと、クラル様は「ありがとう」と微笑んだ。