2人の表情はとても楽しそうで、僕は思わず微笑んだ。

2人の話を聞いたあと、僕も覚えてる限りの話をする。クラル様との出会い、クラル様のすごいところ、クラル様のことを色々と。

いっぱい、クラル様のことを話したいんだ。ごめんね。

「途中から、クラル様のことしか話してない気がする……思い出を話そうって言ったのは僕なのに……」

「良いんだよ?もっと惚気てくれても」

そう言って、ティムはニコニコと笑う。

……の、惚気……っ!?

「惚気るって……お前なぁ……」

呆れたように、アーサーは言った。

ふと時計に目を移したティムは「あ、もうこんな時間!?夕方じゃん!」と驚いたような声を出す。

「あ、本当だ……気づかなかった……話に夢中になってたからね。2人は、そろそろ帰る?」

僕が問いかけると、2人は頷いた。

「今度来た時は、ルーチェの思い出話の続きを聞かせてね」

ティムの言葉に、僕は「分かった」と返すと僕らは部屋を出る。

「ルーチェ!」

廊下を歩いてると、クラル様に話しかけられて、僕は立ち止まった。

「父様と話が終わったあと、さっきまで母様と一緒にお菓子作りしてて……これ、僕が作ったものなんだけど……良かったら食べて」

クラル様は、そう言ってお菓子の入った袋を僕に差し出す。