ルシフェルさんは、そんな僕らを笑って見てる。攻撃してくる気配はない。

それから、僕は2人に目を移した。

「……ギルバートさん、ルカさん。2人に、頼みたいことがあります」

「頼みたいこと?」

近くから、カランと何かが落ちる音がした。音がした方を見てみると、ビオラさんが持ってた剣を落としたみたいだった。

「……父様、ビオラさんを頼めます?」

僕が声をかけると、父様は「分かった」とビオラさんに近づく。

それを見てから、もう一度2人に目を移した。

「はは、面白。仲間のピンチだってのに、ルシフェル……?だっけか。全く助ける気配がないな」

ルシフェルさんがいるであろう場所を見ながら、ギルバートさんは笑う。

「あいつは、そういう奴だからな」

「……あの、話を進めてもいいですか?」

僕が声をかけると、ルカさんは「ごめん」と謝って、ギルバートさんは無言だ。それを肯定と見て、僕は話を続ける。

「頼みたいことというのはーー」

「他の魔王に今回の件を報告しろ、だろ?」

ギルバートさんが、口を挟んだ。

「今回は協力してやる。あいつだけは、放っておけない。勘違いするな。クラルの目指す世界平和のためじゃない。それだけは、覚えとけ」

ギルバートさんの言葉に、僕は「分かっていますよ。助かります」と微笑む。