｢ありがとう。入ってもらって｣

そんな声が聞こえてきて、モンスターはドアを開ける。

『ルカ様に、粗相のないようにお願いします』

モンスターにお礼を言って、僕らは部屋の中に入った。

｢……いらっしゃい。待ってたよ。僕は、ルカ・クロウディア。大魔王をしている｣

部屋の真ん中付近に立ってた黒髪に紫色の目の男性ーールカさんが、自己紹介をする。それに釣られてか、父様も僕も自己紹介をした。

｢さて、クラルを返してもらおうか｣

｢いいよ。ほら、そこで蹲ってるのがクラルくんだ｣

そう言って、ルカさんはクラル様がいるであろう場所を見る。ルカさんの視線を辿ってみると、部屋の隅の方でクラル様が蹲ってた。

｢……意外とあっさり返してくれるんですね？｣

｢本当は、クラルくんと話したかったんだよ。でも、クラルくんのいる場所が分からなかったから、知ってるらしいビオラに頼んだの。連れてきて欲しいって。嫌なら、連れて来ないでいいからって頼んだらさ……まさかの、力ずくで連れてくるからびっくりしたよ｣

ルカさんは、そう言ってから困ったような顔をする。

｢それから、傷だらけだったから治療して、目が覚めるまでここにいたんだけどさ。目が覚めて、少ししたら急に泣き出すから、話しどころじゃなかったんだよね｣