その人物は部屋から一冊の本を見つけ出して、こう呟いたそうだ。

『こいつが、破壊神……こいつが復活すれば、魔王たちは驚くだろうね。大魔王になって良かった』と。

後に、ルカさんが大魔王ということを知って、ルカさんの企みを阻止するためにいずなは僕を探したという。

「……もしかしたら、それがルカを陥れるための策だった……という可能性もある」

いずなが一通り話終えると、エレナさんはそう言った。

「ルカにはね。兄がいる……性格が違いすぎて、ルカとは良く喧嘩してたって言ってた。ルカの兄は、平気で人を傷つけることが出来るらしくて……ルカは、兄からよく言われてたんだって。『ルカが嫌いだ』って。何を思ってなのか……この間、うちにルカの兄が遊びに来て……その豹変っぷりに、ルカはすごく驚いてた」

「ルカさんの兄が、この家に……もしかしたら、タイミングとか色々重なって、いずなは勘違いをした可能性だってあるわけか……」

『……そうだとしたら、申し訳ないです。皆さんに、間違ったことを言ってしまいました』

そう言って落ち込むいずなに、僕は声をかける。

「大丈夫。今回の話をもとに、もう一度皆と話そう」

「……ルーチェ、ルカの居場所を教えるよ」

エレナさんはそう言って、ルカさんの居場所を教えてくれた。