「ルーチェ!」

僕が八咫烏と話をしてると、近くから父様の声が聞こえてきて、僕は声がした方を向く。

「父様……」

「ルーチェを、町にある図書館に連れて行こうかなって思って……ルーチェって、本読むの好きでしょ?」

父様の言葉に、僕は「図書館ですか?行きたいです!」と答えた。父様は、「分かった。出かける準備、しておいで」と微笑む。

僕は返事をすると、僕の自室に向かって走り出した。



僕らの住む館のある森の近くにある、中世ヨーロッパのような町並みが広がる大きな町・カラミティ。

この町には、モンスターと戦って人々の平和を守る職業をまとめた言い方・冒険者を育成する学校がある……らしい。

父様と手を繋いでカラミティの大通りを歩いていると、大きな建物が見えてきて父様は「ここが、図書館だよ」と教えてくれた。

父様に連れられて図書館の中に入る。

中には想像していたよりもたくさんの本があって、僕は「わぁ……!」と声を出した。

「最近、ルーチェやクラルを連れて町に来れてなかったからね。日が暮れるまでなら、好きな本を読んでいいよ」

父様の言葉に、僕は「本当ですか?嬉しいです」と笑う。

「届かない場所は、俺が取るから言ってね」