僕が呪具使いになって、早1年。今日も、庭で魔法の練習をしていた。

『すごいですね。この短期間で、覚えるのが難しいとされている魔法を習得するとは……この調子だと、数年後には大魔導師になってそうですね』

空を飛びながら、僕の様子を見ていた八咫烏が言う。

魔導師には3つの称号があって、下から順に、1つ以上の魔法を扱う魔導師、この世界にある魔法の半分以上の魔法が扱える大魔導師、ありとあらゆる魔法が扱える大賢者。

大賢者になるのは相当難しいらしくて、今この世界に大賢者の称号を持つ人は50人もいないらしい。

「……ありがとう。僕、大賢者になりたい。大賢者になって、皆を守りたい」

僕がそう言うと、八咫烏は『なれますよ。主人なら』と僕の肩に止まった。

「…………よし。今日の練習はここまでにして、今から読書でもしようかな。前に、町に行っていた父様が買ってくれたやつ」

僕がそう呟くと、八咫烏は『主人は、本当に読書が好きですね』と返す。

「うん。読書は、昔から好きだよ」

この世界に転生する前から、僕は読書が好きだった。この世界にも僕の大好きなファンタジーの小説はたくさんあって、たまに父様や母様は小説を買ってきてくれる。