八咫烏は、そう言って僕をじっと見つめた。

「……その前に、答えを見つけなさい」

「答え?」

「そうです。あなたは、どうして強くなりたい?大賢者になった後、あなたはどうしたい?……その答えを見つかるまで、私はあなたに試練を出しません。それが何を意味するか……あなたになら、分かりますよね?」

……試練が出されないということは、僕はずっとこの世界にいることになる。強くなることも、クラル様を助けることも出来ない。

「……あぁ、そうだ。この姿の時は、私のことはレイチェルと呼んでください。前の呪具の持ち主の名前を借りただけですけどね……明日の朝、答えを聞きに来ます」

「……でも」

「甘いんですよ。あなたは……答えを見つけられないまま、強くなっても無駄なんです。強くなりたい明確な理由を持ちなさい。答えが見つかってないあなたに、試練を受ける資格はありません」

八咫烏……いや、レイチェルは鋭い視線を僕に向ける。

「……」

「それでは、また明日お会いしましょう」

その言葉とともに、レイチェルは姿を消した。

……強くなりたい明確な理由、か……分かんない、な……今の僕に、見つけられるんだろうか?