……普段は、魔王の側近をやってる……って言いたいけど……言ってもいいのかな。2人を信用してないわけじゃないけど、話すの、何だか怖いなぁ……。

「…………じゃあさ!ルーチェの将来の夢は何?」

なかなか答えない僕を見てか、和夢が話題を変える。

……あれ?もしかして、気を使ってくれた……?

「……将来の、夢……ありとあらゆる魔法を扱う大賢者になることだよ」

小さい頃からの夢を、僕は答えた。

……大賢者になったら、その後はどうするの?……分からない。答えが、見つからない。

「……大賢者になって、僕はどうしたいんだろう……」

思わず、そう呟いてしまう。僕は、立ち止まると視線を地面に落とした。

「……そもそも、僕は……どうして、大賢者を目指し始めたんだっけ?」

この世界に来てからの僕は、自分でも分かるほどに変だ。これも、いずなたちが仕向けたものなんだろうか?それとも……?

分からない。分からないけど……何か、引っかかるんだ。

……本当に、僕がやりたいことって?

「……ルーチェ」

旭に話しかけられて、僕は顔を上げる。

この答えは、試練を進めてくうちに見つかるはず。だったら、今は目の前の課題に集中しなくちゃ。

「ごめん。何でもないよ」

僕は2人に謝ると、歩き始めた。