『お初お目にかかります。私は、呪具の化身。呪具の力を制御するために生まれた存在。この呪具の最後の持ち主には、八咫烏と呼ばれておりました』

……さっき、暗闇の中で聞いた声だ……呪具の化身って言ってるし、暗闇の中で僕に話しかけてきたのは八咫烏か。

「ルーチェは、呪具の呪いに耐えて持ち主となった」

そう言って、父様は手に持っていた杖を僕に差し出した。僕は、それを無言で受け取る。

『主人、これからよろしくお願いしますね!』

器用に僕の腕に乗った八咫烏は、そう言った。

「僕は、ルーチェ・クロウディア。よろしく」

八咫烏に向かって、僕は微笑んだ。