『驚かせたようですみません』

「え!?」

いずなが喋ったことに、旭と和夢は驚いた顔をする。

「大丈夫だよ、いずな……それよりも」

僕が言いかけた時、いずなは『分かっております。説明がほしいのでしょう?』と口を挟んだ。僕は、口を閉じて頷く。

『その為に、僕はここに来ました。まず、ここはルーチェ様の過去にいた世界を模して作られた空間です。ルーチェ様は、実際に過去の世界に飛んだ訳ではありません……そして、今から僕と八咫烏から2つの試練をルーチェ様に与えます。その2つを見事達成出来たら、呪具の全ての力をルーチェ様に貸して差し上げます』

「……2つの、試練……」

『そうです。本来、呪具は持ち主に相応しいかどうかを試すために試練を与えます。しかし、ルーチェ様はそれを受けずに呪具の持ち主になりました。呪具の判断で、時が来た時に試練を受けてもらうことも出来るんですよ。では、早速僕から試練を与えます』

そして、いずなは一呼吸置くと話し出した。

『試練その1。ルーチェ様は、今は魔力も武器もない状態です。その状態から、自力で魔力と武器を取り戻してください。そこのお2人に相談するのはありです……それでは、頑張ってください』

いずなは言いたいことだけを言うと、姿を消す。