「……なるほどねぇ。クラル様が魔王だということも、僕が魔王の側近だというのは本当のことだよ。でもね、クラル様は他の魔王とは違う。それだけは、覚えといて。もし、クラル様を傷付けるようなら……僕は許さないからね」

僕の言葉に、カナタさんは「もう手は出さねぇよ。クラルさんは、ルーチェの家族は良い奴だってことを知ったからな」と返した。それを聞いたエリカさんは頷く。

その言葉を聞いてか、父様は安心したように微笑んだ。

「皆、ちょっといい?クラルがいない間のことなんだけど……」

父様の言葉に、皆の視線が集まる。それを確認してから、父様は口を開いた。

「クラルがいない間、クラルの仕事は俺が引き受ける。ルーチェには、その間だけ俺の側近としていて欲しい。クラルがいなくなって焦る気持ちも分かるけど、今はクラルを奪還するための準備を進めていこう。今日の会議はここまで」

そして、父様は少し間を置いてから「カナタくんとエリカさん、少し話があるから残ってもらってもいい?」とカナタさんとエリカさんを見つめる。

2人は、不安そうな顔で頷いた。

僕は、リルと母様に続いて部屋を出ていこうとするレオンさんに声をかける。

レオンさんは、僕と目を合わせると「どうした?」と首を傾げた。

「……僕に、もっと色んな魔法を教えてください。強く、なりたい……僕が強かったなら、クラル様を助けることが出来たかもしれません。だから……」