皆の視線が、僕に集まった。

「……そういや、ルーチェ……何か呟いてたよな。考えが腑に落ちた……みたいなこと、言ってなかったか？」

アーサーが、話しかけてくる。僕は、無言で頷いた。

「これはあくまで僕の考えなんですが、その冒険者は……わざと、2人を利用した可能性があります。冒険者は僕らの秘密を知ってて、敵だと認識しながらもカナタさんとエリカさんに近づいた。僕らの関係に亀裂を入れて、今まで味方だと思っていた人物を敵だと認識させるため、とか」

「……確かに、ありそうだね。相手は、まずは味方を少なくすることを考えたってことか……」

「そうかもしれませんね……ねぇ、カナタさんにエリカさん。昨日のことを詳しく聞いてもいい？」

僕が2人に問いかけると、カナタさんは「何だよ？」と首を傾げる。

「……これは、僕が個人的に知りたいことなんだけど……冒険者から僕のことを聞いた時、どう思ったの？」

「……正直に言うと、信じたくはなかったな。ルーチェが、魔王の配下にいるってこと。ずっと、ルーチェは冒険者をしていると思っていたからな。何としてでも、助けなきゃって思っていた……だが、魔王……クラルさん、だったか？と戦った時、本当に魔王なのか、ルーチェは本当に魔王の側近なのかっていう疑問が生まれた」