「皆の誘導が終わった後、ずっと戦いを見ていたけど……すごかったよ。アーサーくんの剣術も、ルーチェくんの魔法も、ティムの演奏も……助かったよ」

そう言って、ティムのお父さんは微笑んだ。



あの後、僕らは皆と少し話してからカラミティに戻ってきた。

アーサーとティムをレオンさんの家まで送ってから、僕は家に帰るために歩き慣れた森を歩く。

「……ん?」

森を歩いてると誰かの声が聞こえてきた気がして、僕は立ち止まった。耳を澄ましてみると、微かにだけど話し声が聞こえてくる。

何だか嫌な予感がして、僕は声がした方へと向かった。

「……!?」

視界に飛び込んできた光景を見て、僕は足を止める。

片手に剣を持ったカナタさんが、エリカさんを守るように立ってて、カナタさんはリルに剣を向けていた。リルはリルで、武器である槍を構えてる。

……どうして、こんな所にカナタさんとエリカさんが?どうして、リルが戦闘体制に?……色々と疑問があるけど……まずは、話を聞かないと。

僕は、ほぼ同時で動き出したリルとカナタさんに向かって、息を吸って叫ぶ。

「止めろっ!!」