ふっと意識が浮上して、僕は目を覚ます。視界に入ったのは、見慣れない景色。

地面に横たわっていた僕は、体を起こすと辺りを見渡す。どこかの森の中にいるらしくて、見えるのは木ばかり。

「ここ、どこ?」

僕は、今までのことを思い出そうとした。

確か……僕は学校帰りで、通学路を歩いてたはず。それで信号が変わるのを待ってたら、僕に向かって車が突っ込んできて……それから……それから?

それからのことが思い出せない。あの後、何があったんだ?どうして、僕は森の中にいる?

そのことを思い出そうとすると、ズキン、と頭が痛んで思わず僕は手で頭を押さえる。

「大丈夫?」

頭痛に耐えていると、近くから声がして僕は声がした方を見た。そこにいたのは、まだ小学生くらいの男の子。

風が吹いて、彼の青みがかった黒髪が揺れる。心配そうな赤い目が、僕を捉えていた。

「……君は?」

痛みが治まってから、僕は問いかける。

「僕、クラル・ディスペア!7歳!」

ニコリと彼――クラルさんは、笑いながら自己紹介をした。

その時、どこからか「クラル!」と声がしてクラルさんと同じ青みがかった黒髪をした男性が、姿を現す。

男性はゲームでしか見たことないような衣装に、腰には剣を下げてて、僕は思わず「え……」と呟いてしまった。