それから実家に戻ると、父はあっさりと私と虎太郎のことを許してくれた。

 その日の晩ご飯は、きちんと四人分あり、おまけにすき焼き。しかも和牛。
 父と虎太郎はお酒を飲んだ途端に打ち解けて、終いには『娘を頼む』と泣き出した。

 お酒が苦手な私はカフェオレをちびちびと飲みつつ、枝豆を口に入れる。
 母は父と虎太郎の様子をうれしそうに眺めていた。

 私は思わずぽつりと呟く。

「本当に、見栄っぱりだよね」

 その言葉は、父にも母にも聞こえていなかったようだ。