映像の最後に、『どっきりでした!』と何のひねりもない文字が映し出される。

 何がどっきりでした、だよ。

 披露宴の招待客たちは、「なーんだ」とホッとしている。
 騙されてるのか、本当に。嘘でしょ?

 私が苦笑いをしていると、司会の女性が言う。

『さて、新郎新婦のお二人は、このドラマのことをご存知でしたか?』

 私も虎太郎のすべての事情を知っているとも知らず、両親はしてやったりという顔をしている。
 ちょっとイラッとしたものの、私は答える。

「いいえ。知りませんでした。驚きましたよ」

 そう言って両親に向かった微笑んだ。

 独身最後の親孝行、ということにしておこう。

<おわり>