「よし、これでオッケー。ねえ文芸部っていつもどこで活動してるの?」



 スマホを鞄にしまい、莉桜は少しそわそわした様子で立ち上がった。



「ていうかさ。入学した時期ならまだしも、こんな冬になってから部活の見学なんて、今さらって思われないかな」


「そこは心配しなくていい」



 確かにこんな微妙な時期に部活の加入を検討する人は少ない。

 しかし、『五人以上のメンバーと顧問さえ確保すれば部活動として登録できる』というこのルール、逆に言えば五人が集まらなかったらその時点で廃部となる。どんなタイミングであろうが、メンバーが増えればそれだけ廃部の危機から遠ざかれるのだから無下にされるはずがないのだ。



「文芸部はいつも図書室の隣の教室で活動してる。何かの資料が欲しくなったときに便利だから」



 僕は廊下を移動しながらそんな説明をする。