文芸部。僕の所属する部だ。
部員数は、部が成り立つ5人をどうにか上回っている7人。主な活動内容は詩や小説などの創作。日によっては単に小説を読んで過ごすだけのこともある。
「考えてみたらさ、佑馬が部活をしているとこなんて見たことないんだもん。見学させてよ」
「見学するのは部活であって僕じゃないからな」
「あっはは、わかってるって」
その顔は今一つ信用ならない。
だが、そもそも部活見学を提案したのは僕だ。莉桜が文芸部を選ぶことも想定内。
「……なら、今日がちょうど活動日だから今から見に来るか?」
「行く行く! あ、お母さんに連絡入れるからちょっとだけ待ってね」
莉桜は楽しそうに笑顔を浮かべたまま、母親に連絡すべくスマホをトントントンとタップする。
こうしていると、莉桜は死にたがりどころか、むしろいつもにこにこして何でもない毎日に楽しみを見出せるタイプに見える。