「それは助かるな~。あの美少女が部員だって宣伝すれば、新入生男子大量に集まりそうだし」


「ちょ、そんな創作に興味ない人たち適当に集めたら、また卓部長怒るって……」


「はは、俺はもう部長じゃないし、今日で卒業だ。この部はもう完全にお前らのものなんだから好きにしたらいい」



 高島先輩はおかしそうに笑って、ぐいっとジュースを飲み干した。


 ──先輩の送別会は、それから小一時間ほど続いた。

 新部長が部員全員でお金を出し合って買った花束を渡したのを見届けて、僕は散らかったお菓子の個包装袋を片付け始める。

 そんな僕に、高島先輩は教室を出る直前ポンと肩を叩いて言った。



「櫻田。お前は将来プロの作家になれるんじゃないかと思ってる。俺も負けないように精進するよ」



 先輩が僕のことをそこまで買っているのは少々意外だった。

 気の利いた返しが咄嗟に思いつかず、僕は手を振って教室を出ていく先輩に向かって、静かに頭を下げた。