おともだち

 昼休み、少々考え事をしたくて職場からちょっと離れた店にでも行こうか、と考えていた。
 混みあったエレベーターを避け、階段で行くかと思っていたら、同期だろうか、小柴さんのグループと一緒になった。すでに気が滅入って避けたいところだが
「あー、宮沢さんもお昼ですか! ちょうど宮沢さんの話してたんですよ。お昼一緒に行けたらラッキーだなーって」
「あ、ああそう」

 断り切れず、彼女たちの話題に応える。
「あの! 宮沢さん、恋人いますか!? 」
「ちょおっとぉ、声大きいってば。まだここ会社! 」
「あ、だって。話せたらっ! 聞きたかったんだもん」
「……いないよ」
 そう、会社だっての。でもまぁ、気さくに?答えますよ聞かれたからには。
「そう! 私もいないって聞いてびっくりしちゃった。絶対いると思ったよね! もしかして彼女じゃなくて色んな人がいるってことですか」
「あー、その噂も聞いたことある。でも、納得だよね」
「そうかな、意外に話やすくて、優しい」
「えー、じゃあ尚更何で彼女いないのって」

 本人()ほっといて会話してんじゃねぇよ。なかなか失礼だけど、()()()()があるのはとっくに知ってるので驚かない。
 
「モテるでしょう、宮沢さん。彼女、作らないんですか? 」

 階段のドアを開ける。これ、何となくだけど面倒なことになりそうだから防衛しといたほうがいいかもな。
 
「……あはは、そうかな。でも俺、()()()()()()()()()()()
「あ、じゃあこっちから告白してもダメなんだ。残念だなぁ。宮沢さんに告らせるなんて難易度高いじゃないですか」
 そう、誘いとか、期待とかしないでってこと、通じてよかったわ。