――園内で軽いランチを済ませると、もう一度見たい動物をまわることにした。
仁科さんは考えすぎてしまう。行きの車では『今は大丈夫』って言ったくせに、もう彷徨い出す。気にするな、なんど言っても気にしてしまうんだろう。俺がどう思うか、ってことか。それで楽しくなくなるなら良くない傾向で、今までの恋愛でも問題は目の前ではなく仁科さんの心の中にあったのかもしれない。
多分、適当にとか無理なタイプなんだろうな。俺も……恋愛に関しては無理かもしれない。どのくらいの好き度で付き合って、どのくらいの感情で別れるか……そう考えた時、参考になる恋愛が自分にはなく、これまでいかに恋愛に苦労しなかったか、思い知る。
『その代わり、君から行った場合振られたことは無いんじゃない? 』辰巳主任が言ったことが思い出される。振られたことが無い。だから、振られた相手に食い下がったはいいが、どうしていいかわからない。3か月って期間を決めたのに、日替わりどころか分刻みに気持ちが怪しくなる彼女に、何とか、言いくるめ、関係をつなぎ、つなぎ……。
どうしたらいいん、これ。
多分、今の俺、世界一かっこ悪いと思う。
「カンガルー、赤ちゃん誕生だって。お父さんどれだろう。あ、あっちの檻だね」
仁科さんがそこに書いてある案内を読んでそう言った。はぁ、そっか。
君は、どうやって口説いたんだね?なんて、聞いてしまう。
「ふふふ、動物に話しかけるなんて、栄司って結構子供みたいなところがあるね」
仁科さん――多江は無邪気に笑う。内容までは聞こえなかったみたいだ。
「なぁに、男同士、大人な会話をしてたんだよ」
まぁ、カンガルーには無視されたけど。多江はまた笑った。
仁科さんは考えすぎてしまう。行きの車では『今は大丈夫』って言ったくせに、もう彷徨い出す。気にするな、なんど言っても気にしてしまうんだろう。俺がどう思うか、ってことか。それで楽しくなくなるなら良くない傾向で、今までの恋愛でも問題は目の前ではなく仁科さんの心の中にあったのかもしれない。
多分、適当にとか無理なタイプなんだろうな。俺も……恋愛に関しては無理かもしれない。どのくらいの好き度で付き合って、どのくらいの感情で別れるか……そう考えた時、参考になる恋愛が自分にはなく、これまでいかに恋愛に苦労しなかったか、思い知る。
『その代わり、君から行った場合振られたことは無いんじゃない? 』辰巳主任が言ったことが思い出される。振られたことが無い。だから、振られた相手に食い下がったはいいが、どうしていいかわからない。3か月って期間を決めたのに、日替わりどころか分刻みに気持ちが怪しくなる彼女に、何とか、言いくるめ、関係をつなぎ、つなぎ……。
どうしたらいいん、これ。
多分、今の俺、世界一かっこ悪いと思う。
「カンガルー、赤ちゃん誕生だって。お父さんどれだろう。あ、あっちの檻だね」
仁科さんがそこに書いてある案内を読んでそう言った。はぁ、そっか。
君は、どうやって口説いたんだね?なんて、聞いてしまう。
「ふふふ、動物に話しかけるなんて、栄司って結構子供みたいなところがあるね」
仁科さん――多江は無邪気に笑う。内容までは聞こえなかったみたいだ。
「なぁに、男同士、大人な会話をしてたんだよ」
まぁ、カンガルーには無視されたけど。多江はまた笑った。



