「当たり前だろ! アオは違うのかよ」

「そんなわけないだろ! 俺だって、今日という日をずっと楽しみにしてたんだから」


アオの笑顔は俺と同じくらい弾けていた。

今日は絶好のサッカー日和(びより)だ。


「アオ、今から1on1しようぜ」


まだ他の生徒が登校する前の時間帯。

人通りはまったくないし、ここでアオと1on1をするにはうってつけだ。


「ったく、しゃーねぇなぁ!」


そう言いながら、アオは口角を上げて、制服の袖をまくりあげる。

アオのやつ、やる気満々だな。

でも、そうでなくちゃ、面白くない!


「ハル、ルールは?」

「この桜トンネルの終点までにボールを持っていたほうが勝ちでどうだ?」

「のった!」


ゲーム内容が決まったところで、俺はネットからサッカーボールを解放した。

先攻は、俺からだ。


「いつでもいいぞ、ハル!」

「それじゃ、遠慮なくっ!」


開始の合図と同時に、俺はアオに速攻を仕掛けた。