雲ひとつない青空の下、満開の桜が春の訪れを告げている。

木々の隙間から降り注ぐ暖かな陽の光が、これから始まる高校生活を歓迎してくれているようだ。

胸を弾ませながら、俺は正門に足を踏み入れる。


今日から、この学校でサッカーができるんだ!


ボールネットに入ったボールを蹴りながら、校舎まで続く桜の並木道を歩いていく。

この春、俺たちが入学した桜坂高校には、日本一強いサッカー部がある。

前年度はインターハイと全国大会で2連覇したチームだ。

そんな偉業を成し遂げた強豪校で、これからサッカーの練習ができると思ったら――。

想像しただけでわくわくが止まらなくて、朝からボールを蹴らずにはいられなかった。


「ハル、やる気満々だな」


そう言ったのは、幼なじみのアオこと久代(くしろ)蒼生(あおい)

俺にとって、どんなときでも頼れる唯一無二の相棒だ。

小学生のころからいっしょにプレーしてきた俺たちは、“アオハルコンビ”と呼ばれている。