大人になっても絵を描く――それが私の夢。

そのために、高校生になってからずっと絵と勉学に(はげ)んできた。

だけど、現実は残酷(ざんこく)にも私の進路を(はば)む――。




ああ……。
やっぱり、また絵が描けなかった。

世界絵画コンクールの応募まで、もう時間がないというのに。
自分の思い通りの絵がなかなか描けない。
気がつけば、数えきれないほどの絵をボツにしてしまっている。

こんなときに、足踏みしている場合じゃないのに……。

今年は受験の年だけど、私はすでに“とある美術大学”の受験を終えている。

合格発表は、夏ごろ。

とはいえ、結果が出るまでは他の大学の受験勉強をする必要があるから、まだ気は抜けない。
それなのに、私はある日からスランプに(おちい)った。

どの進路も美術大学を選んでいるのに。
受験に合格していたとしても、肝心の絵が描けないなんて話にならない。