翌日はいつもより気分が落ちていた。
昨日の会話のせいなのは明らかだ。
私は平和に生きていたい。
誰かに好かれるなんて夢は見ないから、誰かに嫌われることだけはないように。
たとえ都合のいい存在に扱われることになっても、それでもいいと思う。
だから、彼女たちに何かを言って空気の読めないやつだと思われたらダメなんだ。
「おはよう」
椅子に座って1限の教材机の端にまとめ、スマホを眺めていると近くで声が聞こえた。
普段周りの挨拶の声なんて気にならないのに、なぜか妙に耳に入ってきた。
私に挨拶したわけじゃないよね、とスマホをスクロールする指は止めない。
「白浪さーん??」
あぁ。憂鬱な気持ちになりながら視線をスマホから右に向けると視線の先には想像通りの顔があった。
「おはよう田代くん」
昨日のあの会話で気まずくなったと思っていたのに挨拶されるなんて思わなかった。
次の席替えはいつか、早く離れたいとすら思っていたのに。
「今日の体育、校庭から体育館に変更だって聞いた?」
お構い無しに会話を続けようとする田代くんに私はちゃんと顔を向けて会話をすることにした。
素っ気ないやつって思われるのも困る。
「うん聞いたよ、室内でバレーだってね」
「外体育も好きだけど、バレー結構楽しみだな」
「スポーツ得意だもんね」
「それもあるけど」
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴り響く。チャイム鳴ったね、と言って会話を切りあげた。
一限は日本史。難しい感じの羅列を黒板に書く音が響く中、私は睡魔とたたかっていた。
世界史の方が好きなのもあり、日本史に面白さは見いだせなかったし、先生の話し方も眠気を誘う。
コンコンと机を叩く音に目が覚める。
「ね・む・そ・う」
口パクで笑いかける右隣の彼のノートは綺麗な文字で埋め尽くされていた。
これが成績の差ってやつかも、なんて思いながらふいっと顔を前に向き直す。
結局私のノートは1ページの半分程度しか埋まらなかった。
バンッ
体育館にボールが打ち付けられる音が響く。
バレーボールは、好きじゃない。
嫌な思い出がずっと残ってるから。
「白浪さん次こっちのコートで試合だよ」
クラスメイトに呼ばれてステージに近い方のコートに向かう。
ピーッ
体育の先生のホイッスルが試合の始まりを告げる。
相手チームには女子バレーボール部キャプテンの山崎さんが居て、こっちのチームはあからさまにローテンションだった。
「向こうに山崎さんが居るのに勝てるわけないよね、」
「うん……勝つのなんて無理に決まってるって」
山崎さんのサーブは綺麗だった。
真っ直ぐ正確に打ち込まれたボールは私の腕に当たった。
バンッ
やっぱり……
昨日の会話のせいなのは明らかだ。
私は平和に生きていたい。
誰かに好かれるなんて夢は見ないから、誰かに嫌われることだけはないように。
たとえ都合のいい存在に扱われることになっても、それでもいいと思う。
だから、彼女たちに何かを言って空気の読めないやつだと思われたらダメなんだ。
「おはよう」
椅子に座って1限の教材机の端にまとめ、スマホを眺めていると近くで声が聞こえた。
普段周りの挨拶の声なんて気にならないのに、なぜか妙に耳に入ってきた。
私に挨拶したわけじゃないよね、とスマホをスクロールする指は止めない。
「白浪さーん??」
あぁ。憂鬱な気持ちになりながら視線をスマホから右に向けると視線の先には想像通りの顔があった。
「おはよう田代くん」
昨日のあの会話で気まずくなったと思っていたのに挨拶されるなんて思わなかった。
次の席替えはいつか、早く離れたいとすら思っていたのに。
「今日の体育、校庭から体育館に変更だって聞いた?」
お構い無しに会話を続けようとする田代くんに私はちゃんと顔を向けて会話をすることにした。
素っ気ないやつって思われるのも困る。
「うん聞いたよ、室内でバレーだってね」
「外体育も好きだけど、バレー結構楽しみだな」
「スポーツ得意だもんね」
「それもあるけど」
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴り響く。チャイム鳴ったね、と言って会話を切りあげた。
一限は日本史。難しい感じの羅列を黒板に書く音が響く中、私は睡魔とたたかっていた。
世界史の方が好きなのもあり、日本史に面白さは見いだせなかったし、先生の話し方も眠気を誘う。
コンコンと机を叩く音に目が覚める。
「ね・む・そ・う」
口パクで笑いかける右隣の彼のノートは綺麗な文字で埋め尽くされていた。
これが成績の差ってやつかも、なんて思いながらふいっと顔を前に向き直す。
結局私のノートは1ページの半分程度しか埋まらなかった。
バンッ
体育館にボールが打ち付けられる音が響く。
バレーボールは、好きじゃない。
嫌な思い出がずっと残ってるから。
「白浪さん次こっちのコートで試合だよ」
クラスメイトに呼ばれてステージに近い方のコートに向かう。
ピーッ
体育の先生のホイッスルが試合の始まりを告げる。
相手チームには女子バレーボール部キャプテンの山崎さんが居て、こっちのチームはあからさまにローテンションだった。
「向こうに山崎さんが居るのに勝てるわけないよね、」
「うん……勝つのなんて無理に決まってるって」
山崎さんのサーブは綺麗だった。
真っ直ぐ正確に打ち込まれたボールは私の腕に当たった。
バンッ
やっぱり……