次なる視界/その11
ケイコ


多美からはいろいろ伝わってきた

アイツ、隠すの苦手なタイプだから、はっきり言わなくてもわかっちゃうって(苦笑)

でだ…、荒子さんとの話を重ね合わせれば、ここまでメンバーが減った南玉には、何はともあれ人員の増員を講じることが喫緊の課題となる

では、どうするか…

今回の再編騒動によって、まず言えるのは、私を含め都県境勢力の枠外にいた女子高生が、その枠を飛び越える環境になったということだ

つまり、従来の部外者が当事者になれるってことで、平たく言えば、今まで何玉や紅組に入りたくてもはいれなかった子たちが、これからはバイクにまたがって気の合う仲間とチームを作れる土壌ができあがった訳

そんな子たちはほっとけば、必然とレディー・キャビネットとやらの傘下に飛びこんでいくだろう

これは相当な人数に上ると思うよ

それらほぼすべては、岩本真紀子が仕切ることになるだろうね

まあ、そこに麻衣がどの程度関与するかはわからないし、もしかすると、岩本へ丸投げして自分は全くタッチせずってこともあり得るかな

そこで南玉だ…


...



たぶん荒子さんは従来の高い敷居をどっと下げて、門戸を大きく開くと思う

無論、来る者拒まずまでは無理だろうけど、今回目覚めた新たな猛る少女たちを、生まれ変わった南玉連合に迎え入れるつもりだと思うよ

そして一気に人員補強を行い、2派体制を構築する

私はバイク乗れないから、各校側勢力である程度のポストを押し付けられそうだ(苦笑)

多美も今日のアイツの口ぶりからすると、そっちのグループで、私との協力ポジションに付くことになりそうだ

一方の走りの部隊だけど…、これはズバリ、レッド・ドッグスを復帰させて、その中軸に据えることを描いてると思う

当然、脱退のいきさつを知ってるメンバーから出戻りに反対する声が出るのは避けられないだろうけど、荒子さんはそれをクリアする方策を持ってる感じがする

さらに、麻衣も戻ってくるかもってことだ…

...


ここ直近、巷の噂では、火の玉川原で決着が付かなかった二人の猛るニューフェースが南玉連合の内部で競い合う局面に向かってるとかって‥

まあ、そのニューフェースの一人が私な訳だわ(苦笑)

とにかく、3日後の総集会で”それら”は決するだろうね

荒子さんにはその前日に呼ばれてる

なんと、その場所はサパークラブ、ベッツ…

あの黒原盛弘さんの未亡人、黒原吹子さんの店だ

荒子さんはなぜ、”そこ”で私を呼び出すのか…

ひょとすると、その場には誰か他に人が来るとかか…?