絶叫、そして契り/その5
多美代



放課後…

今日は部活がないので、教室で待機している

ある"来客"を迎えるため…

こっちとしては、この2、3日中と睨んでいる

そしてその時は来た…

...


「本田さんー!!」

テニスウェアの1年らしき女子が教室に飛び込んできた…

「はあ、はあ、はあ…。あなた…、本田多美代さんよね?」

「ええ」

「はあ、はあ…、今、校庭に大河原の本郷麻衣が来てるわ。…あなたご指名で、呼んできてくれって」

「そうか、来たかー!」

「…それで、彼女が現れた時の対処はあなた方から聞いていたんで、今、サッカー部の先輩が合田先輩と五條先輩には伝えに行ってるわ」

「ああ、ご苦労様。で、本郷は?」

「これも指示通り、旧体育館に連れて行ってる。二人付いてるから、大丈夫だと思うけど、急いで!」

「うん、わかった。ありがとう!」

よし!

本郷め…、飛んで火に入る夏の虫だ!!

待ってろよ!

私は竹刀片手に、旧体育館へ走った


...


本郷はいた…

もう頭の包帯は外れてて、普通に立ってるな

フン、ならよう…

いらぬ心配なく、思いっきりやれるってことだ

「…本郷!テメー…。よくもヌケヌケと現れやがったな…」

「本田さん、こんちわ!」

コノヤロー!

呑気にあいさつかよ…

おっと…、その前に一般生徒は解放しなきゃ

「…ああ、あなた達、どうもありがとうね。あとはこっちが引き継ぐんで」

テニス部員二人は軽く会釈すると、駆け足でコートに戻って行った

...


「お前、ひとりか?」

「ここにはね。ただ、校門の外には送迎の車をつけてある。運転手含めて3人だよ。でも、校内には絶対に入ってこないから安心しな。今日は合田総長に、”先日”のケジメをつけに来た。まあ、私が来るのは想定してたみたいだから、事前の準備はできてるんだろうよ。…ここでいいのか?」

よし、本郷は一人でケリつける気だ

しかし…

くー、なんて落ち着いてやがるんだ、コイツ…

ようし…、覚悟はできてるようだし、こっちは一切遠慮なしでいくからな

「ああ…。今よう、中のカギ持ってくる。総長も時期ここに到着する…」

私は人気のない旧体育館の入口前で、本郷と約2Mの距離をとって顔を突き合わせていた…

ある意味、これ以上ないであろう、熱っついガンガンな睨めっこだったわ