ヴィアベルは、サントリナとニゲラの恋が自分の助力なしに成就したことが面白くないらしい。
 というか、ペリウィンクルが彼を頼らなかったことに腹を立てていた。

 親離れを目標にしているペリウィンクルには迷惑──というのは少々語弊がある。本当は甘えたいところを将来のために涙を呑んで頑張っているのだから──でしかないのだが、どこまでも過保護な妖精は、彼女に頼られることを生きがいとしているらしい。
 そんなヴィアベルが、サントリナとニゲラの仲が急接近しているという噂を聞きつけて真っ先にしたことは、ペリウィンクルを壁に追い詰め、逃げられないように腕で囲い込みながら「私を殺す気か!」と責めることだった。

 殺す気とは穏やかではない。
 怯えるペリウィンクルがなんとか気を奮い立たせて聞き出したところ、

『できることなら、そばにいてくれ。そばにいてくれないと、何をしでかすかヒヤヒヤして何も手につかん』

 と、またしても言われてしまった。