引っ越しをするのは簡単な事ではなかったが、夜にはなんとか新居の中にダンボールや家具が全て入った。

「あーちゃん…、今日は外食にしよ」

疲れた顔で輝月が言い、星も同じく疲れた顔で頷く。


‐「外食、久しぶりだぁ。
ねっ、あーちゃん」

なんだかんだ理由をつけて外食したかったんじゃなかろうか、と星を思ったが、

「ね」

余計な事は言わず、頷く。

「それにしてもよくおじさん、おばさんが許してくれたね。
別の大学を合格していたのに断って、他県の大学をもう一度受験したし、恋人と一緒に住むって言ったのに」

「まぁ、怒られはしたよ。
だけど同棲相手があーちゃんだから、折れた感じだね。
知ってる顔だったのが幸いしたって言うか」

輝月の言葉を聞いて星は戸惑う。