「これが原因で学生時代はからかわれていてね、森村さんはよく庇ってくれた…」

「もしかして理人さんは実花さんが好きだった、とか?」

自信なさげに小さな声で話す星に、理人は頷く。

「好き、だったね」

理人は噛み締めるように言う。

「森村さんは僕なんかにも優しくしてくれて、ほんとに好きだった…。
だけど…、森村さんに彼氏が出来て、……あ、なんでもない」

理人は口をつぐむとそれ以上は何も答えてくれなかった…。

「なーんか怪しいね」

カナは理人の家を出てから、考え込んでいる。

「どこが?」

「あんだけベラベラ話していたのに、森村さんの彼氏の話になった途端、口をつぐんじゃってさ。
あれ、殺(ヤ)ってない?」

「ちょっとカナちゃん、物騒だよぉ」

星がたじろぐ。